木造建築において、防水は建物の寿命を左右する最も重要な要素の一つです。木材は水分を含むとシロアリの発生や木材腐朽菌の繁殖による腐朽などを招くことになり、構造的な強度が急速に失われていきます。木造防水で大切なのは「水を入れないこと」「入ってもすぐ乾かすこと」という考え方が基本となります。
木造建築の耐用年数

木造建築の耐用年数には二つの考え方があります。一つは税務上から見る「法定耐用年数」、もう一つが「物理的な実際の耐用年数」、つまり建物の寿命です。
減価償却のための年数「法定耐用年数」
法定耐用年数は減価償却のための年数であり、建物の寿命ではありません。木造住宅・事務所などで22年、木造店舗・飲食店などは用途によって20年から22年となっています。この年数は税務上の計算に使う年数であり、22年で住めなくなるという意味ではありません。
実際の建物の寿命

日本最古級の木造建築である法隆寺は世界でも最古級の現存する木造建築として知られており、約1,300年にわたり維持されています。特殊な木造建築ですが、数百年から1,000年以上も前の寺社仏閣などが現在もあることからわかるように、木造建築は適切な設計・施工とメンテナンスを行えば、長く使用できます。一般的な木造住宅で50年から60年以上、長期優良住宅など適切に維持管理された住宅であれば75年から100年以上は使えるとされています。
水を入れない・入ったらすぐに乾かす
国土交通省は2024年に「木造建築物の耐久性に係る評価のためのガイドライン」を公開していますが、その中には対策について次のように紹介しています。
木造建築物の耐久性に関しては、[1] 構造躯体の内部への雨水の浸入の防止、[2] 雨水の浸入があった場合の速やかな排出、[3] 雨水が浸入し滞留した場合の構造躯体への防腐・防蟻処理が重要です。
「木造建築物の耐久性に係る評価のためのガイドライン」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr4_000113.html
このガイドラインは木造非住宅建築物を対象とされていますが、示されている耐久性確保についての基本的な考え方は住宅にも共通します。
木造防水の方法

木造防水は雨水が浸入しやすい外壁、屋根、バルコニーといった場所を正しく施工することが重要です。防水機能の寿命は場所や防水施工に使用する素材・材料によって異なります。木造防水でよく見られるのはFRP防水やウレタン防水など。注意が必要なのはいずれの防水施工をしても、その時点から劣化が始まるということです。定期的にメンテナンスを行うことで、木造防水の効果をできるだけ保たせることができます。
FRP防水
FRP防水は繊維強化プラスチック(FRP)を使った防水工法です。ガラス繊維に液状のポリエステル樹脂を含ませて硬化させ、強度が高く継ぎ目のない防水層を作るという方法です。耐久性・耐衝撃性・耐摩耗性に優れ、軽量で建物への負担が少ない、硬化が早いので比較的短期間で施工できるというメリットがある一方、伸縮性が低いため、振動などで建物の動きが大きい場所ではひび割れが起こることがあるほか、紫外線から防水層を守るため、一般的に5年程度でトップコートのメンテナンスが推奨されます。
ウレタン防水
液状のウレタン樹脂を塗り重ねて、防水膜を形成するのがウレタン防水工法です。液体の状態で施工するため、継ぎ目のない防水層をつくることができます。複雑な形状にも対応しやすいのが特徴だといえます。配管や室外機の架台や段差がある屋上でも施工可能です。伸縮性が高いので、建物の動きやひび割れに追従しやすいというメリットがあります。しかし、乾燥・硬化に時間がかかることや、施工品質が職人の技術に左右されやすいこと、所定の膜厚が確保されないと耐久性が十分に発揮されません。FRP防水と同様でトップコートの定期メンテナンスが必要となり、5年程度で塗り替えが推奨されています。
木造防水にレジリエンスウレアという選択

5年周期で業者を呼んで塗り直すのはコスト的にも手間的にも回避したい、という場合、最初からトップコートが不要だったり、あるいは寿命が極めて長かったりといった工法による木造防水対策を選んでおくべきだといえるでしょう。そこで、新たな選択肢として注目されているのがレジリエンスウレアです。レジリエンスウレアは耐久性に加えて、強靭性、伸縮性、防水性、耐候性などを併せ持つコーティング塗料です。レジリエンスウレアが木造防水において効果を期待できるのは従来のFRPやウレタン防水が抱えていた、木造建築に対する弱点をカバーできる性能があるからです。レジリエンスウレアによる木造防水の施工について解説していきましょう。
レジリエンスウレアとは
レジリエンスウレアは「回復力」「しなやかさ」を意味する言葉「レジリエンス(Resilience)」を製品名とするコーティング塗料です。建物や施設の安全性向上、長寿命化のために利用されるコーティング塗料のポリウレアを進化させたものであり、次のような特徴があります。
・超耐候性・強靭性
・防水性
・伸縮性
・高透明度
・透湿性
・低汚染性
・環境対応
これまで耐候性や伸縮性、防水性、低汚染性など、既存のコーティング塗料では共存できなかった背反性能を、独自技術によって1つの塗料にまとめたのがレジリエンスウレアです。
レジリエンスウレアの伸縮性と強靭性
木造建築は湿度の影響を受けるため、季節によって木材の伸縮があります。また、風や地震のような自然環境の影響によって常に構造自体が微妙に動きます。そのため、FRPを利用した場合、その強靭性、硬い塗膜が木材の動きや歪みに耐えることができず、ひび割れが発生してしまうことがあります。これに対して、レジリエンスウレアはダンベル4号を利用し、膜厚0.3mmのレジリエンスウレア塗膜を利用した引っ張り速度毎分500mmによる実験で約300%に及ぶ高い伸び率を記録したことが公開されている試験動画で確認できます。同様にレジエンスウレアによる塗膜の強靭性も瓦に塗布した実験映像でみることができます。
レジリエンスウレアの追従試験
レジリエンスウレアの強靭試験
紫外線に強い耐候性
ウレタンやFRPによる防水施工は紫外線に弱く、直射日光に当たると劣化・分解が進みやすいため、上からトップコートを塗る必要がありました。このトップコートの寿命は約5年です。つまり5年ごとにトップコートの再施工をしなければなりませんでした。一方、レジリエンスウレアは紫外線に対して強いという特徴があります。第三者機関によるSUV2000時間暴露試験の結果をもとに、レジリエンスウレアは期待耐用年数30年以上と評価されています。これは一度施工すれば、それ以降、数年おきに足場を組んでトップコートを再施工するという面倒なメンテナンスコストの削減を図ることが期待できます。
レジリエンスウレアの木造防水性能を引き出すために

レジリエンスウレアの特徴・性能をフルで発揮させるためにはノウハウが必要です。業界団体であるレジリエンスウレア協会では施工業者に対する技能講習を実施しており、一定の施工基準を満たした企業のみの加盟を認めています。レジリエンスウレアで木造防水を行っても、塗膜の膜厚や塗布の際の施工法によって耐久性が大きく落ちてしまう可能性があります。木造建築の寿命を延ばすためには、防水材そのものの性能だけでなく、それを適切に施工できる技術力も欠かせません。レジリエンスウレアによる木造防水を検討する際は、施工実績や協会加盟の有無なども確認し、信頼できる施工会社へ依頼することが大切です。
