
正月も明け、2月に入ると雪国の積雪はいよいよピークを迎えます。ピークとなるのは地域や年によって異なりますが、一般的に1月後半から2月頃と言われており、地域別で見ると、北陸地方はもっとも早く1月末。北海道の太平洋側では2月末頃、日本海側やオホーツク海側では3月上旬から中旬頃、東北地方の日本海側の山沿いは1月後半から2月頃、太平洋側は2月頃がそれぞれピークとなります。降雪地域で問題になるのは屋根に積もった雪が凍り、滑り落ちる際に屋根の塗装を傷つけてしまい、劣化スピードが早まってしまうということです。
寒冷地や降雪地帯で利用される屋根材の主流は金属屋根

寒冷地や降雪地帯の屋根材には、雪の重みや寒さに耐えられるよう、形状や素材などで特殊な工夫が凝らされたものが使われています。特に雪が多い北海道や東北地方では、ガルバリウム鋼板やステンレス鋼板の金属屋根が主流となっています。
ガルバリウム鋼板の特徴は?
ガルバリウム鋼板はアルミニウムと亜鉛で鉄板をメッキした金属屋根材です。重さは瓦屋根の10分の1程度と非常に軽く、建物の構造への負担が少ないため、耐震性に優れており、耐食性、耐候性に優れ、錆びにくく長持ちするという特徴があります。また、加工がしやすく、複雑な形状の屋根にも対応できるため、施工が容易であるだけでなく、雪が滑り落ちやすく、積雪による荷重を軽減できるというもの特徴として挙げられます。
ステンレス鋼板の特徴は?
鉄にクロムやニッケルなどを加えた合金で、優れた耐食性を持つのがステンレス鋼板です。ガルバリウム鋼板よりもさらに耐久性・耐候性に優れています。また、ガルバリウム鋼板よりも軽量で、建物の構造への負担が少ないのですが、材料費、施工費ともに高額で硬いため、加工も難しいというデメリットもあります。
降雪地帯で金属屋根を使う理由

降雪地帯で金属屋根が広く使われているのは、積雪や寒冷地という気候条件に適した様々なメリットがあるからです。理由の一つとして挙げられるのは金属屋根の表面が滑らかで、雪が滑り落ちやすいという特性です。ガルバリウム鋼板やステンレス鋼板の屋根材は雪が積もりすぎるのを防ぎ、建物の重心が高くなることによって倒壊してしまうリスクを軽減するのに役立つだけでなく、雪下ろしの作業負担も軽減されます。
金属製の屋根も万能ではありません
降雪地帯で採用が多い金属屋根ですが、万能でありません。メリットもあればデメリットもあります。デメリットには雪害や塩害、酸性雨の影響などが挙げられます。
降雪地域の屋根が直面する雪害

降雪地帯の屋根に金属製を採用することで雪下ろしの作業負担の軽減などのメリットがあります。ガルバリウム屋根やステンレス屋根は耐食性に優れた金属屋根材ですが、完全に錆びないわけではありません。凍った雪が屋根の上を滑り落ちる際、表面を削ってしまい、塗装を剥がしてしまったり、ひどい場合には傷をつけてしまったりといった雪害が発生します。塗装の剥がれは1年目から徐々に始まり、およそ3年でダメになってしまいます。
塗装が剥がれたり、傷がついたりといった屋根の損傷は放置しておくと、錆の発生につながります。
塩害や酸性雨・雪の影響も
屋根の損傷は雪害だけではありません。海岸に近い地域では、潮風によって屋根に塩分が付着することがあります。塩分は金属の腐食を促進させるため、錆が発生しやすくなります。また、酸性雨はガルバリウム鋼板のメッキ層を腐食させますから、塗装が剥がれてしまっていれば、そこに降った酸性雨・雪が屋根に錆を発生させてしまいます。
降雪地域の金属屋根を守る方法は?
ガルバリウム鋼板製やステンレス鋼板製の屋根を守るには屋根材の表面をコーティングし、傷の発生を防止するほか、定期的に点検・メンテナンスを行い、汚れを落とし、点検で傷や錆を見つけたら早めに補修することで錆の拡大を食い止めることができます。また、雪下ろしを行う際は、屋根材を傷つけないよう、注意することが必要です。
雪害から屋根を守るレジリエンスウレア

雪害による屋根の損傷を抑制するのがレジリエンスウレア(Resilience Urethane)です。「レジリエンス」は物体の弾性や回復力、復元力を意味する言葉。耐久性や耐候性を重視した、ポリウレア(Polyurea)技術を基盤としたコーティング材の一種であるレジリエンスウレアは「防水性と防汚性」「多用途性」「高耐候性」「柔軟であるが高強度」などの特性を持っています。
独自の樹脂合成技術で強靭な透明防水性塗膜を形成
レジリエンスウレアは強靭な透明防水性塗膜を形成します。独自開発の樹脂合成技術によって、レジリエンスウレアで塗膜した屋根材は外部からの水の浸入を防ぎつつ、万が一、塗膜の内側に湿気が入ってしまった場合には外部に逃がします。そのため、雪はもとより、雨や強風、激しい温度変化など、さまざまな気象条件に対して優れた耐久性、防錆性を発揮します。
防弾チョッキにも使用されるウレア樹脂の強靭な塗膜
ウレア樹脂は米軍の弾薬庫や特殊警察の防弾チョッキにも使用されているほどの強靭性を誇っています。この強靭性がこれまでガルバリウム鋼板やステンレス鋼板の屋根材が直面していた雪害による塗装の剥がれや傷の発生を防止します。レジリエンスウレアによってコーティングして、表面を保護することによって、従来3年ほどで寿命がきていた塗膜を10年近く保たせることが可能になります。
扱いやすくなったことで普及拡大するポリウレア樹脂塗料
ポリウレア塗料はその強靭な塗料特性や防湿性、耐候性などから、利用されてきましたが、取り扱いが難しく、建築塗料市場では利用が進んでいませんでした。従来のポリウレア樹脂塗料が直面していた技術的課題を解決したのがレジリエンスウレアです。
建築塗料市場では普及が進まなかった従来のポリウレア樹脂塗料
従来のポリウレア塗料は特殊な専用吹付機材が必要とされていたこと、主剤と硬化剤を混錬して使う2液タイプが主流となっていたことが技術的な課題となっていました。施工時の計量ミスがあったり、混錬ミスがあったりすると、本来得られるはずだった耐性が得られなかったというケースが少なくなかったといいます。また、2液混合型はイソシアネートとアミンが反応することによって得られる樹脂硬化が非常に速く、取り扱いが難しかったため、コンクリート防食市場など一部では利用されてきましたが、建築塗料市場では普及が進みませんでした。
2液タイプポリウレアの技術的課題を解決したレジリエンスウレア
2液タイプのポリウレア樹脂塗料における技術的課題を解決したのがレジリエンスウレアです。レジリエンスウレアは硬化剤成分を内在させるという独自技術の「マイクロセパレーションテクノロジー(ミクロ相分離技術)」を開発したことによって、1液湿気硬化型となっています。現場で混錬する作業は不要になったことで、これまでポリウレアの課題となっていた作業現場での混錬の際のミスや硬化スピードに対する配慮といった懸念を減らすことができます。
レジリエンスウレアで雪害対策を
降雪地域でのガルバリウム鋼板やステンレス鋼板を利用した屋根材の経年劣化はできるだけ抑えたいものです。凍ってしまった雪が滑り落ちることで屋根の表面塗装が剥がれていったり、傷がついてしまったりすることで、屋根は錆などが発生し、3年ほどで修繕や補修工事が必要となってしまう場合がありました。しかし、レジリエンスウレア樹脂塗料で屋根の塗膜保護することにより、その寿命を約10年まで伸ばすことが可能となります。レジリエンスウレアによる屋根材のコーティングは、寿命を大幅に延ばし、維持管理コストを削減する効果的な方法です。