看板はその場所や目的に応じて様々な形やサイズ、デザインがあります。ビルに設置される看板には自社の認知向上を図ることを目的にしたものやテナントで入居している店舗の存在や営業状況の告知のほか、広告媒体として商材や価格、イベントなどの情報提供をPRするために利用されています。ビルに設置される看板は外壁などに設置されるため、紫外線、夏の高温、冬の低温、風雨、雪などの厳しい自然環境にさらされます。そのため、メンテナンスをしなければ、色褪せなどの劣化が進みますし、破損することもあります。劣化した状態の看板はビルの景観を悪化させ、ビル自体の印象、さらにはビルのテナントの評判にも悪影響を与えてしまいかねません。
ビルの看板、その役割は?
ビルの看板は単なる装飾や表示以上に多様多様な役割を果たしています。一例を挙げると、その建物に入居する企業や店舗の場所を案内する目印として、道案内・位置情報を提供するほか、広告メディアとして設置されることで収入源にもなります。看板デザインが地域の文化や雰囲気を反映していれば、看板のあるビルの風景が観光資源や地域の象徴となります。また、長い年月を経て愛されている看板は、地域の歴史や記憶を伝える役割も担っています。
ビルの看板は、位置情報の伝達、広告・情報発信の手段としてだけでなく、建物の価値をも向上させる重要な役割を担っているといえます。
しかし、それは看板が美しい状態を保っているからであり、経年劣化で文字が判読できなくなっていたり、色褪せてしまっていたりすれば、逆効果となり、建物の価値を下げることになりかねません。メンテナンス状況によって、看板が果たす効果は大きく異なってしまうことになります。
ビルの看板はなぜ色褪せてしまう?
ビルの看板は厳しい自然環境にさらされ続けるため、メンテナンスしなければ劣化が進み、色褪せてしまいます。看板が色褪せる原因を見ていきましょう。
看板の顔料を分解する紫外線対策
太陽光には紫外線(UV)が含まれています。UVは看板の塗料や印刷インクに含まれる顔料を分解するため、色褪せを引き起こします。直射日光が当たる場所に看板を設置した場合紫外線の影響を受けやすくなります。紫外線から看板を守り、耐候年数をあげる方法のひとつとしてラミネート加工やコーティング加工があります。 ラミネートの場合には看板にUVをカットする透明の薄いフィルムを貼り、印刷部分を保護することで、耐久性向上を図ります。
雨や湿気、温度変化が塗料やインクの劣化を加速
雨水や高い湿度で塗料やインクが劣化してしまうことがあります。また看板が金属製の場合、酸性雨が看板自体の劣化をも加速させてしまいます。また、外気にさられていますから、昼夜、季節ごとの温度差、変化によって看板の素材が膨張・収縮を繰り返します。その結果、塗料やインクがひび割れたり、剥がれたりします。大気中の汚染物質がインクと化学反応を引き起こして、色褪せを早めることもあります。耐候性のあるインクを使用する、耐候性のあるフィルムでコーティングする、印刷方法を工夫するといった方法で色褪せを遅らせます。
ビルの看板、メンテナンスフリーではありません
看板の色褪せなど劣化を抑制するために耐候性の高いインクやコーティング資材が開発されています。しかし、劣化を遅らせることはできても止めることはできません。そのため、ビルに設置されている看板は定期的なメンテナンスが必要です。
看板は防汚コーティングやUVカットフィルムでコーティングするなどの保護処理や、定期的なクリーニングを実施していないと、紫外線の影響が出たり、あるいは汚染物質の影響を受けたりといったことが原因となって、色褪せなどの劣化が進行していきます。こうした対策を行っていても劣化を完全にストップさせることはできません。そこで次のような方法で看板の劣化を対策します。
- UVカット加工や耐候性の高い塗料やインクの使用
- 高品質の素材を選択
- 保護膜(ラミネートやコーティング)を施す
- 看板の定期的なクリーニングの実施
看板を直射日光から守る位置に設置したり、日除けを設置したりといった方法もありますが、看板を設置できる場所は限られます。そのため、一般的にはここで取り上げたような方法で対策することになります。
看板に発生する色褪せなどの劣化を完全に防ぐことは難しいですが、こうした対策を取ることで寿命を延ばすことが可能です。
注目されるレジリエンスウレア
ビルの看板は高所に取り付けられているケースも少なくありません。そのため、ビルオーナーや管理会社からすれば、メンテナンスの回数をできるだけ少なくしたいと考えるのはいうまでもありません。そこで注目されているのがレジリエンスウレア(Resilience Urethane)です。レジリエンスウレアは耐久性や耐候性を重視した、ポリウレア(Polyurea)技術を基盤としたコーティング材の一種。製品名の中にある「レジリエンス」は物体の弾性や回復力、復元力を意味する言葉であり、レジリエンスウレアの特性を表しています。
レジリエンスウレアの特性は?
ポリウレアは、イソシアネートとポリアミンの反応によって生成される樹脂であり、レジリエンスウレアには「耐紫外線性」「高耐候性」「柔軟であるが高強度」「防水性と防汚性」「多用途性」といった特性があります。
「耐紫外線性」を証明するため、レジリエンスウレアは第三者研究機関によるスーパーUV2000暴露試験を行っています。この試験において、レジリエンスウレアでコーティングした塗膜は2000時間、年数換算で約40年という期待耐用年数が確認されています。
また、レジリエンスウレアは強靭な透明防水塗膜技術、さらには独自の樹脂合成技術により、外部からの水の侵入を防ぎつつも、内部の湿気を外部に逃すという機能を持っています。そのため、雨、雪、強風、温度変化など、さまざまな気象条件に対して優れた耐久性を発揮します。
このほか、高い柔軟性を持ちながらも、耐摩耗性や引張強度に優れており、看板のコーティングに利用した場合、基材が膨張・収縮しても割れにくいといったこと、架橋密度の高さによって塗膜表面が緻密なため、汚染物質の定着を防ぐこと、といった特徴があります。
ポリウレアの技術的課題を解決したレジリエンスウレア
ポリウレアはこれまで、コーティング用途で利用されてきたのですが、施工が非常に難しいという課題がありました。現在普及しているポリウレア樹脂材料は主剤と硬化剤を混錬して使う2液タイプが主流となっています。施工時の軽量ミスがあったり、あるいは混錬ミスがあったりすると、本来得られるはずだった耐性が得られなかったというケースが少なくなかったといいます。
レジリエンスウレアは硬化剤成分を内在させるという独自技術の「マイクロセパレーションテクノロジー(ミクロ相分離技術)」の開発によって、1液湿気硬化型となっています。現場で混錬する作業は不要にしたことで、これまでポリウレアの課題だった作業現場での混錬の際のミスを減らすことができます。
ビルの看板のメンテナンスを軽減するレジリエンスウレア
ビルに設置される看板はきれいなままで維持していきたいもの。しかし、きれいなままで維持するためにはメンテナンスに手間とコストがかかります。レジリエンスウレアによるビルの看板のコーティングは、看板の寿命を大幅に延ばし、維持管理コストを削減する効果的な方法です。特に、色褪せや劣化を防ぎつつ、耐候性や美観を長期間にわたり維持することが求められるビルの看板には、最適なソリューションといえます。