木造住宅の耐震補強や長寿命化において、近年高機能なコーティング材が注目されています。木造住宅の耐震性を語る際、これまでは筋交いや構造用面材、接合金物といった構構造そのものを強化する、つまり耐震を「つくる」対策が主流でした。しかし竣工時、どんなに高い耐震性を持っていても、その後の維持管理次第でその性能は落ちてきてしまいます。木造建築の場合、水分や紫外線による劣化、さらには腐朽やシロアリ被害など、構造性能を低下させる要因が結果として耐震性に大きな影響を与えてしまいます。そこで注目されているのが耐久性という視点からの耐震対策です。
自然災害大国の日本
日本は地震をはじめとする自然災害による影響が少なくありません。それは日本がユーラシアプレート、北米プレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートという4つの巨大な岩盤、プレートが複雑に重なり合っているという場所に位置しています。世界で発生するマグニチュード6以上の地震の約20%が日本周辺で起きているという驚きのデータがあるほどです。
また、地震だけではありません。台風・豪雨の影響もあります。日本は台風の通り道であり、梅雨や秋雨前線による集中豪雨も頻発します。
日本の防災を考える上で、最も注視されている自然災害が南海トラフ地震です。2026年現在、この地震はいつ起きてもおかしくないという非常に高い切迫性を持った段階だといわれています。政府の地震調査委員会による最新の評価は今後30年以内の発生確率として60%から90%程度という数値を公表しています。
https://www.jishin.go.jp/evaluation/long_term_evaluation/subduction_fault/summary_nankai/
「南海トラフの地震活動の長期評価」を一部改訂しました(政府 地震調査研究推進本部)
そのため、南海トラフ地震発生のリスクが高まると予測する専門家も多く、今まさに備えの段階にあるといえます。
耐震性能をいかに維持していくのか

地震災害が多い日本では住宅に対しての耐震性は建築基準法によって定められています。1981年(昭和56年)6月1日施行の建築基準法改正で耐震の考え方がより厳しくなり、旧耐震は震度5程度で倒壊しないというものだったのが、改正後の新耐震では震度6強〜7でも倒壊・崩壊しないという変更が行われました。現在、新耐震をうたっている木造住宅はこの「震度6強〜7でも倒壊・崩壊しない」という性能評価が行われています。しかし、近年、現場レベルで改めて認識されつつあるのが、「性能は時間とともに低下する」という考え方です。
木造建物の耐震性能は時間とともに低下する
設計時にはいかに高い耐震性能を確保していても、その後の維持管理が不十分であれば、本来の性能を発揮できないという考え方が、近年の耐震分野で重視されています。とりわけ木造住宅においては、水分や紫外線による劣化、さらには腐朽やシロアリ被害など、構造性能を静かに蝕む要因が多いといわれています。
新築時にどれほど頑丈に建てたとしても、築後、メンテナンスを怠り、10年、20年経って壁の中に雨水が入ったり、木材が腐ったり、あるいはシロアリが発生したりしていれば、その耐震性能は一気に失われます。
木材は濡れた状態が続くと、腐朽菌が繁殖してボロボロになります。その原因は屋根の雨漏りだけでなく、壁の中の内部結露です。また、シロアリは、特に湿った木材を好んで食べます。土台や柱の根元が食べられると、地震の揺れを支える力がなくなります。阪神・淡路大震災で倒壊した木造住宅の多くで、シロアリ被害や腐朽が確認されたという調査結果もあります。
外壁からの水分侵入抑制で劣化進行を遅らせる

木造建築物の経年劣化を避けることはできません。しかし、遅らせる対策を行うことは可能です。こうした背景のもとで注目されるのが、耐久性という視点による取り組みです。つまり構造性能を高める耐震に加えて、低下させないための取り組みによる耐震を行うということです。
外壁からの水分侵入を抑制することで、木造建築物の躯体部分の劣化進行を遅らせること、シロアリの発生を防ぐ対策を行うこと、言い換えれば、耐震性能を高めるだけでなく、本来備わっている耐震性能を長期にわたって維持することが重要となってきています。そこで注目されているのが建物の本来持っている性能を維持するためのコーティング塗料です。
耐震性能の維持にレジリエンスウレア

木造建築物、住宅の耐震性能を維持するコーティング塗料として注目されているのがレジリエンスウレアです。レジリエンスウレアは外壁などに施工される高耐久コーティング材であり、防水性や耐候性に優れています。レジリエンスウレアによる施工は間接的に耐震性能を維持するための補強効果が期待できます。
レジリエンスウレアによる強靭な「面」による構造補強
レジリエンスウレアは、非常に高い引張強度と柔軟性(破断伸度)を併せ持っています。木材の接合部や壁面に吹き付けることで、地震の激しい揺れに対しても、樹脂が「皮膜」となって木材を一体化させます。また、レジリエンスウレアは塗布した面を完全にガチガチに固めるのではなく、ゴムのような弾性を持って粘り強く耐えるじん性を持っています。地震によって受ける振動、エネルギーを吸収し、建物の急激な剥落・倒壊・損壊を防ぐ助けとなります。
木材の劣化防止による「耐震性の維持」
どんなに計算上の耐震性能が高くても、中身の木材が腐ってしまえば地震には耐えられません。その「根本的な弱点」を克服するためのコーティング塗料がレジリエンスウレアです。
木材は湿度の変化で微妙に伸縮しますが、レジリエンスウレアには高い追従性があります。木部伸縮の動きに追随していくため、ひび割れの発生を抑制します。また木造住宅の耐震性が低下する最大の原因となるのは木部の腐りやシロアリによる侵食ですが、レジリエンスウレアは極めて高い防水性を持ち、湿気や水の浸水・浸入をシャットアウトします。
屋根や外壁にレジリエンスウレアを塗布施工することで漏水防止と構造全体の強度アップが期待できます。基礎部分に塗布した場合、基礎のひび割れ防止のための補強と防水効果を高めることになります。木材の腐食防止と地震の振動による引き抜き作用を防止するための補助を目的とした床下・柱の接合部への施工も効果的だといえます。
新築時に近い強度、耐震性能を長期にわたって維持させることを目的として、木造建築の外壁や屋根、さらには土台や柱にレジリエンスウレアを塗布することで腐食対策が行えます。
木造建築物の耐震性能を維持するためのレジリエンスウレア

今後30年以内の南海トラフ地震発生リスクが高まると予測されている中、地震発生時の建物に対する被害を食い止める耐震施策が重要になっています。しかし、どんなに高い耐震性能があっても建物の経年劣化が発生すれば、それにともなって耐震性能も落ちてくるのはいうまでもありません。そこで耐震性能を強化することに加えて、性能を維持するために経年劣化を抑制するという考え方が注目されています。
木造建築の場合、発生する経年劣化には、湿気による木部の腐りやシロアリによる侵食があります。この対策をすることが結果として耐震性能の維持に効果を発揮します。
レジリエンスウレアは屋根や外壁のコーティング塗料として塗布した場合、雨漏りなどの浸水対策となります。また、基礎部や接合部にレジリエンスウレアを施工した場合、建物内部の湿気による侵食からの保護・抑制に効果を発揮します。
